【青森/弘前】建設工事の見積りで注意すべき建設業法上のポイント
見積りは日常業務の一部として当たり前に行われていますが、実はこの見積りの段階に、建設業法違反につながるリスクが潜んでいます。
見積りの内容次第で、一般建設業か特定建設業かの判断を誤ったり、配置すべき技術者を間違えたり、契約書の不備につながることも少なくありません。
この記事では、国土交通省のHPに掲載されている建設企業のための適正取引ハンドブック(第4版)を使用し、建設工事の見積りについて、建設業法上どのような点に注意すべきかを、行政書士の視点から分かりやすく解説します。

見積りの段階で建設業違反にならないように気を付けなければいけないですね
遵守するべきポイントを解説していきますね

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取引条件を明確にしましょう
建設工事の請負契約において、後々のトラブルを防ぐために重要なのが、見積り段階で取引条件を明確にしておくことです。
工事内容や金額だけでなく、支払方法や工期、追加工事の取扱いなどを曖昧にしたまま進めてしまうと、完成後に認識の違いが生じやすくなります。
建設業法では、見積りの段階から適正な取引が行われるよう、見積条件の提示や見積期間について一定のルールが設けられています。
見積条件の提示に必要な事項
見積条件を提示する際には、建設業法により、以下の14の事項を示すことが求められています。(建設業法第20条第4項)
①工事内容
どのような工事を行うのかを具体的に示します。工種、施工範囲、対象となる建物や設備などを明確にし、「一式」だけの表現に頼らないことが重要です。工事内容が曖昧だと、追加工事や費用負担を巡るトラブルにつながります。
②着手及び完工の時期
工事を開始する時期と完成予定時期を明示します。工期が不明確なままでは、人員配置や資材手配に支障が生じ、遅延時の責任の所在も曖昧になります。
③請負代金支払の時期及び方法
工事全体の請負代金を明確に示します。算定根拠が分からない金額提示は、後に金額変更や紛争の原因となります。
支払時期(完成後、出来高払いなど)と支払方法(振込、分割払い等)を明示します。支払条件は資金繰りに直結するため、特に重要な項目です。
④工事を施工しない日又は時間帯
休日や夜間作業の制限など、施工できない日や時間帯がある場合は、事前に示しておく必要があります。これを怠ると、工期や費用に影響が出る可能性があります。
⑤当事者の申し出があった場合における工期の変更又は損害の負担及びそれらの算定方法
工期延長や金額変更が生じた場合の協議方法や算定方法を明示します。変更ルールを定めておかないと、一方的な変更と受け取られるおそれがあります。
⑥天災等不可抗力による工期の変更または損害の負担及びその額の算定方法
台風や地震など不可抗力が生じた場合の対応を定めます。責任の所在や費用負担を明確にしておくことが重要です。
⑦価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法
資材価格や労務費の高騰など、価格変動があった場合の対応方法を示します。近年特に重要性が高まっている項目です。
⑧第三者損害の賠償金の負担
工事により第三者へ損害が生じた場合の責任の所在を明確にします。保険加入の有無なども含めて整理しておくと安心です。
⑨貸与資材等の内容及び方法
元請業者が、工事に使用する資材や機械、仮設設備などを下請業者に貸与する場合には、その内容や方法を見積条件として明確に示す必要があります。
具体的には、どの資材・機械を貸与するのか、無償か有償か、使用期間、返却時期、返却方法、破損や紛失が生じた場合の責任の所在などを事前に明らかにしておくことが重要です。これらを曖昧にしたまま工事を進めると、追加費用の請求や責任分担を巡ってトラブルに発展するおそれがあります。
⑩工事完成検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
完成確認の方法(検査方法)や時期を明示します。完成確認が曖昧だと、支払時期や瑕疵対応に影響します。
⑪工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
完成後の支払条件を改めて明示します。特に出来高払いとの関係を整理しておくことが重要です。
⑫工事目的物の契約不適合責任または契約不適合責任に関する保証等の措置に関する内容
契約不適合責任とは、完成した工事が契約内容に適合していない場合に、補修や損害賠償などの責任を負う制度です。責任を負う期間、補修の範囲、費用負担の考え方、保証や保険で対応するのかといった点を、あらかじめ整理しておくことが求められます。
これらを定めていないと、完成後のクレーム対応で認識の違いが生じ、紛争に発展するリスクが高まります。
⑬履行遅滞、債務不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
工期に遅れが生じた場合の違約金の有無や算定方法、代金支払いが遅れた場合の遅延利息、その他の損害金の取り扱いを明確にしておくことで、感情的な対立を防ぐことができます。
あらかじめ条件を数値や基準で示しておくことが、適正な取引関係の維持につながります。
⑭契約に関する紛争の解決方法
契約に関して紛争が生じた場合、当事者間の協議による解決を優先するのか、調停や訴訟によるのか、また訴訟の場合の管轄裁判所をどこにするのかといった点を事前に定めておくことで、万一の際の混乱を防ぐことができます。
見積りに必要な期間
見積りには、工事内容を正確に把握し、適正な金額を算出するための期間が必要です。
建設業法では、工事1件の予定価格に応じて、次のような最低限確保すべき見積期間が定められています(建設業法施行令第6条)。
・500万円未満の場合:中1日以上
・500万円以上5,000万円未満の場合:中10日以上
・5,000万円以上の場合:中15日以上
十分な見積期間を設けず、短期間で見積りを求めることは、適正な積算を妨げるだけでなく、後の契約トラブルの原因となります。
法定福利費や安全衛生経費を明確に計上
見積りでは、材料費や労務費だけでなく、法定福利費や安全衛生経費を適切に計上することも重要です。
法定福利費とは、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など、法律で事業者に負担が義務付けられている費用を指します。
これらを見積りに含めずに契約してしまうと、適正な労務管理ができず、結果として法令違反につながるおそれがあります。
そのため、見積書の段階で、法定福利費や安全衛生経費を明示し、適正な価格で取引が行われるよう配慮する必要があります。
まとめ
建設工事の見積りは、単なる金額提示ではなく、その後の契約内容や責任分担を左右する重要な手続です。
見積条件や提出期限、書面契約、見積期間、提示すべき内容を適切に整理しないまま工事を進めると、思わぬトラブルや法令違反につながるおそれがあります。建設業法のルールを正しく理解し、見積・契約段階から適正な取引を行うことが、事業を安定して継続するための第一歩といえるでしょう。
青森県、弘前市周辺で建設業許可についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
この記事を書いたのはOSAYA行政書士事務所の佐藤沙耶です。
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